いしのまき演劇祭
第二代実行委員長 矢口 龍太
誰かがやらなければ誰もやらない、演劇祭。
開催するにも、続けるにも、楽しさよりも苦労の方が多いかも知れない。市内外からの期待や話題性こそあれど、潜在客もプレーヤーも不足しがちな地方での演劇祭。責任重大な仕事ではあっても稼ぎにはならないから、実行委員メンバーはめいめい仕事の傍ら取り組んでいる。なかなかに開催は難しい。 だからこそ、この演劇祭とチームには文化芸術への追求心と情熱がある。いずれも作為なく、純度が高い。だからこそ、いしのまき演劇祭は第一線で活躍するプレーヤーたちをも魅了して来れたのだと思う。この演劇祭には表現を通して観客と対話できる喜びが確かにあるから。
東日本大震災から10年、新型コロナウイルス感染症は、僕らの世界からたくさんの舞台表現を奪って来た。演劇ができること自体、一時は当たり前の事ではなくなった。いしのまき演劇祭が開催されることは、今はそれだけで奇跡なのだと思う。とにかく続けていってほしい。観客の皆さんは、開催を決意した彼らをぜひ応援してあげてほしい。一時の打ち上げ花火ではなく、小さくとも情熱を持って打ち続けていくこと。そしてこの先も継続されていくことで、奇跡はありがたいものではなく、当たり前のものになっていく。大きな変化はなくて上等。ふと気がつけば演劇文化が根を張っているような、プレーヤーや観客が生きやすい土壌が出来上がっているような。文化芸術が花咲き実成るそんな石巻になっていることを願う。
そのまだ序章にあるこの演劇祭を、一緒に作っていってくだされば幸いです。
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